精神科医みそのれいの「失敗しない男選び」

男選びに失敗しまくる貴女のために

抜群の自己肯定感を持つ男の子

健全に成熟した自己肯定感を持つ男の子と、忍耐強く人間関係を深めることが、自己肯定感が未成熟な女には必要である。特に「恋愛体質」と呼ばれる依存気質の女には。

頼まれもしないのに当時の私はサキのためにサキに相応しい男を探した。今思えば相当恥ずかしい行為であるが、当時の私は真剣だった。熱かったと言ってもいい。

実はその前田君という男の子が、まさに今の奥村君みたいな男の子だった。見た目がもう「男!」って感じで、性格もやんちゃで一徹。ちょっと酒癖悪いかな、と女の子を心配させるような素振りを見せるものの、全然しっかりしている。上手に酒に飲まれることのできる男だった。

私が前田君を選ぶ決め手になったのは、ラグビー部の彼とは別の部活の後輩が、前田君のことを「あの人はかっこいい」と言って憧れているという話を聞いたからだ。別の部活の下級生にまで「男っぷり」が知れ渡る前田君の「男っぷり」をアイデンティティと言わず何をアイデンティティと言うのだと思ったくらいだ。

前田君はもちろん、女に媚びない男だった。そして奥村君も。それくらい前田君と奥村君はかぶる。

「女に媚びない」はかっこいいと目される男の必須アイテムである。女に気に入られたい一心でひたすらイエスマンになる愚か者とは大違いである。イエスマンなど即座に削除だ。

そしてもちろん、前田君は同性より異性を優先するタイプではなかった。彼には申し訳ないが、こっそり試したことがある。サキとの約束にかぶせるように、相撲部の彼に頼み彼を誘わせたところ、前田君は迷わず相撲部の彼を選択した。これには痺れた。信用できる男だと私は思った。

前田君の自己肯定感の源泉は「3人の女よりラグビー」というくらいの「ラグビー好き」だった。選手としても一流だったが、スポーツとしてのラグビーを愛していた。ラグビーの話を始めたら止まらず、見知らぬ人と知り合った最初の挨拶に、「ラグビー好きですか」と質問するくらいの、「好きっぷり」こそが、今でいう「夢中」「没頭」というやつだが、前田君のそれは大多数の人のレヴェルとはまるで違っていた。