精神科医みそのれいの「失敗しない男選び」

男選びに失敗しまくる貴女のために

自己肯定感抜群の男を選ぶ理由③

健全に子離れを果たした親を持つ福ちゃんの話をしている。

銭湯で知り合った見知らぬ大学生山口君の自宅にその日のうちに転がりこんだ福ちゃん。のちのインタビューでその日のことをこう回顧している。

股座に座っても怒鳴ったりするような男に見えなかったですね。兄貴はとっくにリラックスしてました。顔もとろんとして。体はいかつかったけど、顔は高校生に見えました。でも多分年上だろうと思って兄貴と呼んだんです。そしたら、わざわざ腕に力を入れて力瘤を見せてくれたり、胸筋を触らせてくれたりしました。もう友達!って感じでしたね。

とにかくすごい体してましたからね、信用できると思いました。あの体を作るにはめちゃくちゃ努力が必要です。腕も足もパンパンでした。脹脛がおれの上腕くらいありましたからね。

福ちゃんは、山口君の体を見て、信用できると判断したと言うのだ。非常にアメリカっぽい。資本主義的思考である。そこに山口君は気づいたと言う。

知らない相手に遭遇した時、咄嗟に褒めることができると言うのは、すげえコミュ力だと思いましたね。ちんこ皮被りのくせに。笑 世間話するうち、バイトしたいんすよねーとか言うから、しめしめと思って、おれが「アダルト会社やってる」って言ったら速攻飛びついてきました。そうなるだろうと思って言ったんですけどね。ちょろいもんです。

ここは重要なところだ。普通、イマドキの高校生なら、見知らぬゴツい大人が「アダルト会社をやっている」と言おうものならビビって警戒するってものだろう。ところが福ちゃんは真逆だった。大喜びでついて行ったのである。相当成熟した自己肯定感がないと、この離れ業はできないと精神科医は分析する。

人間、信じるより疑う方が100倍簡単だからだ。疑いさえすれば関わることがなくなるので、何ひとつ問題対処する必要がなくなる。だから人は疑う方を選ぶのである。

逆に信じる方は、何か不測の事態が起こった場合対処しなければならない。自己肯定感が健全な成熟を認める子というのは、幼い頃から、この「対処」という行動を何百回と繰り返してきている。教育というものをよく知った親から、対処の機会を散々与えられ、中学卒業するまでに、立派に合格証書を貰っているのだ。福ちゃんもまさにそのおかげで、見知らぬ誰かに対し自分の判断で「信じる方」から人間関係を構築していく方が何かと合理的、ということをとっくに学習していたのだ。